あなたの会社はいくらの利益を出せばよいのか

確保すべき利益 =「未来のコスト」5つの合計値です。

「未来のコスト」とは会社を維持・成長させるためのコストです。

今日は会社が出すべき「未来のコスト」5つを紹介します。

  1. 借り入れの返済額(年間元本返済額)
  2. 従業員の福利厚生
  3. 経営者の事業承継
  4. 会社の未来への投資
  5. 納税資金

借入の元本返済

借入というのはそもそも「将来これくらい利益を出すので今これくらい貸してください。」という利益の前倒しです。将来の利益を見込んで借り入れを返済していくわけなので、当然利益の中から返済しなければなりません。

利益が出てないのに借り入れをするということは

利益が出ない⇒お金が無い⇒借りる⇒利益が出ない⇒お金が無い⇒借りる・・・

の悪循環となります。 ですので借りたものを返すためには利益を出さないと返せません。年間返済額が1,000万円なら、利益は当然1,000万円以上確保しないと会社は苦しくなっていきます。

従業員の福利厚生

社長も含め従業員も年齢を重ねていきます。会社で働いている人の雇用責任はもちろんありますし、退職金などの準備も必要です。また今回のコロナショックのように万が一の事態が起きた時の家賃や人件費などの固定費の確保も今後考えなければなりません。

経営者の事業承継

当然ですが創業者も永遠に経営者はできません。企業の本質は「継続」していくことにあります。そのためには経営者もバトンタッチをしなければいけないタイミングが必ずやってきます。事業承継に苦戦する理由の一つはお金がかかることです。株を移すためにもお金がかかるし、そのお金はどうるすのかという話に必ずなります。事業承継のタイミングで創業者に退職金を払い、株価を下げるなどして、移転しやすい状態にしてから後継者へ移す方法などもありますが、やっぱりある程度のお金が必要なケースが多くあります。

未来への投資

会社を維持・成長させるには、今後の事業展開をどうするかを考えます。美容室でも飲食店でも、例えば3年後に新店舗を出したいとなればどのくらいコストがかかるのでしょうか。そのときの資金はどうするのか。もちろん借入してやる方法もあります。しかし借入と自己資金を比較した場合に、当然自己資金でまわしたほうが、収益性でいえば結果は大きくなってきます。全額ではなくても一部は自社の力で賄って投資をするためにもお金は必要になってきます。

納税資金

利益が予定より出たときに、「利益は出て税金を納めないといけないが納税資金(現預金)がない」と悩む経営者もいます。税金を払い現金を残すためにも、納税の資金は未来のコストとして考えるべきです。

まとめ

最終的に1~5を足した金額が、会社で出すべき経常利益です。

全部足して1,000万円なのか2,000万円なのか。必要な利益額を先に計算する。算出された必要利益に対して、今期が△300万円なら、来期その差額を埋めるために、会社として何に取り組む必要があるのか。ここからがスタートとなります。

利益は適当に決めてはいけません。なんとなく決めるものでもなく、多ければ多いほど良いという感覚だけでは計画は立てられないのです。

会社を維持・成長させるために、どのように必要な利益を確保するのか。それが会社にとって大切な考え方になります。

魅力的な未来へ M2パートナー 財務ソルバー 丹野一城

企業経営に必要な「財務」とは

皆さん、こんにちは。今回は「財務ってなんですか?」、「言葉は聞いたことあるけど会計や税務とは何が違うの?」と訊かれることがあるのでお答えします。

「財務」ってなに?

私が定義している財務とは

会社の資金を将来に向けてどのようにコントロールすること

会社を将来どんな状態にしていのか、その目標に向けて資金面での計画をたて、実行していくことが財務の目的です。中小企業経営における資金(お金)について指標を出したり、目標設定をしたり振り返りをするときに、会計や税務、経理、財務とといった言葉をよく聞くと思います。それぞれ目的(役割)が異なります。どんな違いがあるのか、どのように使うのか整理しましたので参考にしてみてください。

「会社のお金」について誰が把握し管理しているか話を聞くと以下のような答えがほとんどです。

  • 「お金のこと自分でやってるよ」(経営者自身)
  • 「お金のことは税理士に任せているよ」
  • 「お金のことは経理の担当者に任せている」
  • 「お金のことは妻に任せている」(笑)

注意すべきは上記の答えで出てきた「お金のことは」という言葉です。これを混同してしまうと数字や数値が何を意味しているのか分からなくなってしまいます。

経理、会計、税務、財務の違いは?

  • 【経理】 日々のお金の出入りを処理、管理すること。
  • 【会計】 経理処理が適正かどうかを確認すること(適正な期間損益計算)
  • 【税務】 会計処理をもとに税金を計算し、申告(申告代行)をすること
  • 【財務】 将来に向けて現在のあるべき会社の数字を分析、改善しコントロールすること

なぜ企業経営に「財務」が必要なのか

企業経営において「利益が出る」ことと「お金がある」ことは同じでしょうか。多くの経営者の方はお分かりだと思いますが、もちろん違います。

利益ある ≠ お金がある

黒字なのに倒産する会社もあれば、赤字だけど倒産会社もあります。

その違いは何かというと、会社にお金(現預金)が有るか無いかです。

極端な例を上げると、10年連続黒字経営をしていて、11年目に初めて赤字が出て倒産してしまう会社もあれば、10年間ずっと赤字でもつぶれない会社もあります。

倒産の原因は「資金ショート」です。お金が無くなったら会社は倒産します。赤字がずっと続いていても現預金が潤沢にあれば、会社は継続できます。金融機関からの信用力が高くて、お金が足りなくなってもその都度、融資を受け、支払いと滞らせることがなければ会社は潰れません。

すなわち会計上は業績がいくらマイナスでも会社は潰れませんが、財務上はお金(現預金)が無くなったらその時点でおしまいです。ですので、会社を継続させるためには「財務」の考え方が必要不可欠になるのです。黒字でも倒産してしまうという結果を招いてしまうのは、この財務の考え方が不足していることに他ならないのです。

まず会社が存在し、会社が継続・成長するためにどのくらいの資金が必要なのか。それを考え分析・改善し続けることが財務の役割です。が重要なポイントは将来に向けて考えているところです。

  • 【経理】 日々のお金の出入り(過去)を処理、管理すること。
  • 【会計】 (過去の)経理処理が適正かどうかを確認すること(適正な期間損益計算)
  • 【税務】 (過去の)会計処理をもとに税金を計算し、申告(申告代行)をすること
  • 【財務】 将来に向けて会社の数字を分析、改善しコントロールすること

経理、会計、税務は全て過去の結果でしかありません。去年は売り上げが良かった、今年は売り上げが少し下がった。要するに過去の結果だけをみて良かった悪かったと判断しているだけでは、会社の将来のあるべき姿を実現するために必要な数字は見えてこないということです。

本来、会社の数字を把握しないといけないのは誰でしょうか。

経営者の皆様です。

経営者の責任は

  • 会社を継続させ、雇用責任を果たすこと
  • 会社をどの方向へ進めるのかビジョンを示すこと

この責任を果たすために財務の考え方が必要になります。

中小企業を元気にする  M2パートナー 代表 丹野一城