皆さん、こんにちは。今回は「財務ってなんですか?」、「言葉は聞いたことあるけど会計や税務とは何が違うの?」と訊かれることがあるのでお答えします。
「財務」ってなに?
私が定義している財務とは
会社の資金を将来に向けてどのようにコントロールすること
会社を将来どんな状態にしていのか、その目標に向けて資金面での計画をたて、実行していくことが財務の目的です。中小企業経営における資金(お金)について指標を出したり、目標設定をしたり振り返りをするときに、会計や税務、経理、財務とといった言葉をよく聞くと思います。それぞれ目的(役割)が異なります。どんな違いがあるのか、どのように使うのか整理しましたので参考にしてみてください。
「会社のお金」について誰が把握し管理しているか話を聞くと以下のような答えがほとんどです。
- 「お金のこと自分でやってるよ」(経営者自身)
- 「お金のことは税理士に任せているよ」
- 「お金のことは経理の担当者に任せている」
- 「お金のことは妻に任せている」(笑)
注意すべきは上記の答えで出てきた「お金のことは」という言葉です。これを混同してしまうと数字や数値が何を意味しているのか分からなくなってしまいます。
経理、会計、税務、財務の違いは?
- 【経理】 日々のお金の出入りを処理、管理すること。
- 【会計】 経理処理が適正かどうかを確認すること(適正な期間損益計算)
- 【税務】 会計処理をもとに税金を計算し、申告(申告代行)をすること
- 【財務】 将来に向けて現在のあるべき会社の数字を分析、改善しコントロールすること
なぜ企業経営に「財務」が必要なのか
企業経営において「利益が出る」ことと「お金がある」ことは同じでしょうか。多くの経営者の方はお分かりだと思いますが、もちろん違います。
利益ある ≠ お金がある
黒字なのに倒産する会社もあれば、赤字だけど倒産会社もあります。
その違いは何かというと、会社にお金(現預金)が有るか無いかです。
極端な例を上げると、10年連続黒字経営をしていて、11年目に初めて赤字が出て倒産してしまう会社もあれば、10年間ずっと赤字でもつぶれない会社もあります。
倒産の原因は「資金ショート」です。お金が無くなったら会社は倒産します。赤字がずっと続いていても現預金が潤沢にあれば、会社は継続できます。金融機関からの信用力が高くて、お金が足りなくなってもその都度、融資を受け、支払いと滞らせることがなければ会社は潰れません。
すなわち会計上は業績がいくらマイナスでも会社は潰れませんが、財務上はお金(現預金)が無くなったらその時点でおしまいです。ですので、会社を継続させるためには「財務」の考え方が必要不可欠になるのです。黒字でも倒産してしまうという結果を招いてしまうのは、この財務の考え方が不足していることに他ならないのです。
まず会社が存在し、会社が継続・成長するためにどのくらいの資金が必要なのか。それを考え分析・改善し続けることが財務の役割です。が重要なポイントは将来に向けて考えているところです。
- 【経理】 日々のお金の出入り(過去)を処理、管理すること。
- 【会計】 (過去の)経理処理が適正かどうかを確認すること(適正な期間損益計算)
- 【税務】 (過去の)会計処理をもとに税金を計算し、申告(申告代行)をすること
- 【財務】 将来に向けて会社の数字を分析、改善しコントロールすること
経理、会計、税務は全て過去の結果でしかありません。去年は売り上げが良かった、今年は売り上げが少し下がった。要するに過去の結果だけをみて良かった悪かったと判断しているだけでは、会社の将来のあるべき姿を実現するために必要な数字は見えてこないということです。
本来、会社の数字を把握しないといけないのは誰でしょうか。
経営者の皆様です。
経営者の責任は
- 会社を継続させ、雇用責任を果たすこと
- 会社をどの方向へ進めるのかビジョンを示すこと
この責任を果たすために財務の考え方が必要になります。
中小企業を元気にする M2パートナー 代表 丹野一城